山口情報芸術センター(YCAM)で、映画「椿の庭」を見てきました。

主演は富司純子さんと、シム・ウンギョンさん。

古い日本家屋に住み、日々の暮らしを大切にしているおばあさんを富司純子さんが演じておられました。

シム・ウンギョンさんはその孫の役です。

 

 

おばあさん(絹子)はいつも着物で過ごしているのですが、

その着用している着物はすべて富司さんの私物なのだそうです。

映画の中で着物に着替えされるときの所作もとても自然だと、事前の情報で知っていましたので

見たかった映画でした。

ご近所のYCAMで上映されるとは、ありがたいことです。

 

さて、映画自体のあらすじや感想はネタバレになるので言いませんが、

富司さんの着物姿、よかったです。

映画なので着物の着付け師さんもスタッフにおられたと思いますが、

多分、演じる絹子は着物をこういうふうに着るだろうと富司さんご自身が考えて着ておられたのだろうと思います。

着物はたいてい紬でしたが、

お年を召した方らしく、ゆったりした衿元にして、衣紋はあまり抜かずに着ておられました。

たぶん、補正はほとんどしておられなかったと思います。

もちろん、女優さんなので姿勢はよいし、すらりと美しいのですが、

家で着物を着て、日々の生活を大切にしているおばあさんの雰囲気がよく伝わりました。

 

 

季節の移り変わりに合わせて着物の素材も変わるし、

帯は名古屋帯を締めているときもあれば、半巾帯を締めているときもある。

着物の上に上っ張りを着て、庭の雑草を抜くシーンもありました。

このおばあさんにとっては着物も日常なんだと、

富司さんが、自前の着物で演じられていたから、尚、自然に見えました。

 

年齢により、自然に着物の着方もかわってきます。

お年寄りを演じている、または実際にお年寄りなのに

補正バッチリのシワがない着付けで着物を着て、

若い娘のような高い位置での帯を締めている女優さんをドラマなどで見かけると

「ちがうんだよねー、着付け師さん、もっと勉強してよ。」と思います。

年をとっている人は、そんなガチガチな着物の着方はしないものなのです。

 

「椿の庭」は

YCAMでの上映は12月5日(日)13時からが最終回です。

気になる方はぜひ!